夏競馬は本当に荒れるのか?季節×馬場状態で見える意外な傾向
公開日: 10/2/2025

「夏競馬は荒れる」——この言葉を信じて、夏場は馬券を買わないという方もいるかもしれません。確かに出走馬のメンバー構成は変わりますが、実際のデータを見ると、必ずしも荒れるとは言い切れない結果が出ています。
今回は過去1年間の全レースを季節ごとに分類し、さらに馬場状態別にも集計。そこから見えてきた、予想の新しい視点をお伝えします。
夏競馬の意外な堅実さ
まず季節別の成績がこちらです。

夏(6-8月)の複勝率28.1%は、実は全季節で最高値。逆に最も低いのは冬(12-2月)の26.6%でした。
「格より調子」と言われる夏競馬ですが、調子の良い馬が順当に好走しているとも解釈できます。実力差が明確な分、人気馬が安定して走るケースが多いのかもしれません。
興味深いのはAI予想の的中率です。秋(9-11月)のAI本命馬(◎)の複勝率は56.6%に達します。これは気候が安定し、馬のコンディション管理がしやすくなることで、実力通りの結果が出やすいためでしょう。
芝とダートで正反対の季節特性
季節の影響はコース種別によって大きく異なります。

夏のダート勝率9.3%に対し、芝は7.3%。約2ポイントの開きがあります。
芝コースは気温や日照の影響を受けやすく、夏場は馬場の硬さや芝の状態が変動しがち。一方ダートは比較的安定しており、馬の走りやすさに大きな変化がないことが要因と考えられます。
逆に冬場は、ダートよりも芝の方が安定した結果が出る傾向にあります。寒さで馬場が締まり、力のある馬が力を発揮しやすい環境になるのでしょう。
馬場状態で変わる勝負の傾向
次に東京競馬場を例に、馬場状態別のデータを見てみます。

「良」馬場の複勝率21.7%に対し、「重」馬場は20.2%。全体では良馬場の方が堅い決着になっています。
ところが人気馬(1〜3番人気)に絞ると、様相が変わります。重馬場での勝率は25.2%と、良馬場を上回る数値に。道悪を苦にしない実力馬が、その適性を存分に発揮していると推測できます。

このヒートマップを見ると、東京芝コースでは馬場状態による平均着順の変動が顕著です。良馬場の7.44に対し、不良馬場は7.90。道悪になるほど、人気薄の馬にもチャンスが巡ってくることがデータで裏付けられています。
季節と馬場を味方につける馬券術
これらの分析から、以下の戦略が有効です。
夏のダート戦は積極的に 複勝率28.1%という数字が示す通り、夏競馬は決して荒れるばかりではありません。特にダート戦では堅実な決着が多く、本命サイドで組み立てる価値があります。
秋はAI予想を軸に AI本命馬の複勝率56.6%は、人間の予想を大きく上回る精度。気候が安定する秋は、データに基づいた予想が最も機能する季節です。
道悪は人気馬と穴馬を使い分け 良馬場なら人気馬中心、重〜不良馬場では道悪巧者や人気薄の実力馬を絡める。馬場状態に応じた柔軟な対応が、的中への近道です。
季節や馬場——一見すると偶然に思える要素も、データで見れば明確な傾向があります。その傾向を理解し、馬券戦略に活かしていきましょう。

